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その時カンナが咲いていた② ~ギブミイチョコレート~

カッちゃんの情報を整理すると こうだった

我が家から1.5㎞程離れた所に今
アメリカさんがアーメン(キリスト教)の
幼稚園を建てている

そこへ○曜日に来るアメリカの兵隊が
集まった子供達に
チョコレートとチュウインガムを 
ジープの上から放ってクレルというのだ
従って人数の増加は好ましくない

「シミツ(秘密)だょ」と カッちゃんは言った

「ソンデモッテさ ソン時にはサ」

「ギブミィ チョコレート!とかサ」
「ギブミイ チュウインガム!ってってサァ」
「ミンナ口揃えて エイゴで
ゴアイサツするんだ」と カッちゃんは
細かな指南もしてくれた

「ダァレニモ 内緒ダカンネ」
と カッちゃんに念を押されて
私は 父や母にも内緒で当日を迎えた

やがて○曜日『ギブミイ チョコレート』
『ギブミイ チューインガム』
私は あたかも念仏か 呪文のように道々
小さく声を出して 唱えながら
チョコ ガム獲得に? 出向いたものだ
   
道幅6m 駅から約2㎞の道程が
荒川の土手に行き着くまで両側は
びっしり大小の商店が 立ち並び
その商店通りから やや奥まって
バタヤ部落と賤称されたあたりが
後年の 愛恵学園建設地であった

既に 数十人の子供達が
ガヤガヤと集まっていた

やがて しばし 現れたアメリカ兵が
もったい振った大げさな身振りで
ジープの後部に乗った

B29
B29の空襲を受けた後の後片付けの様子

私もふくめ子供達が一斉に
「ギブミイ チョコレート!」
「ギブミイ チユーインガム!」
と 囃し立てた
三人のアメリカ兵は 大きく両手を広げて
静かにというような ゼスチャーをした

そして次にシーンとなった私達
子供に向って
指揮者のように片手を振り下ろした

またまた子供達は 黄色い声で
絶叫するように
「ギブミイ チョコ!!」
「ギブミイ ガム!!」と
声を揃え大歓声を上げ続けた

ギブミイチョコレート!
ギブミイチューインガム!
子どもたちが振り絞るように大声で叫ぶと
ジープの幌 すべてが外され
仁王立ちのアメリカ兵3人が
片手を挙げたり 両手を拡げたりして
子どもたちの叫び声と静粛とを
自在に操った

喜色満面のアメリカ兵は
それを 何度も何度も 繰り返した後で
やっとガムやチョコを 放り投げ始めた
子どもたちは 嵐のような嬌声を挙げて
右往左往ぶっかりあい もうもうと砂埃り
砂塵が舞いあがり 大混乱になった
私も駆けたり 転んだり やっとの思いで
2枚のチューインガムを拾って
ポケットに入れた

銀紙に包まれた2枚のチューインガムを
ポケットから そっと出したり入れたり
見つめたり溜息をついたり
たまらなくなって私は 帰りの道筋
鳩ポッポのいるお不動様の境内に入った

銀紙をあけ 寄って来た鳩を追い払い
ほんの少しだけチューインガムを折って
口に入れてみた

ガムは 紙芝居で買う昆布
駄菓子屋のニッキとは 比較にならない
それはもう 天国の味だった

(③へつづく)

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