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2016年2月

その時 カンナが咲いていた① ~ ギブミー チョコレート ~

敗戦の日 カンナの花が 燃えるように咲いていた
見渡す限り瓦礫の山がつづく焼け跡の 
どぶ川のふち 防空壕
バラック 防火貯水池
町中いたるところの傍らに
カンナの花が咲いていた 
カンナは 燃えるような 
朱色の花が多く咲いていた

敗戦昭和二十年八月十五日

その年の三月十日 東京大空襲
東京の下町は 唸りを上げて 襲来した
B29爆撃機の猛爆を受けた
照明弾で 眩しく 明るく照らし出され
逃げ惑う 幼子も 年寄も 爆撃を受け
機銃掃射を浴び 焼夷弾で焼き殺された

翌朝 隅田川にぎっしりの焼死体遺体が
浮かび 死者は10万人を超えたという

私の家は 右方90mの近隣迄
爆撃を受け炎上した中で 辛うじて焼け残り
ぐるり周囲が瓦礫になった 焼け野原の中で
敗戦後も呉服店として 商売を再開していた

敗戦のその年のことか 次の年であったのか
何時の頃かが おぼろ気な記憶定かでないが
近所の悪童 カッちゃんが 耳寄りな話を
教えてくれた

何処で仕入れた話なのか 情報通の彼は
「ミンナに言っちゃ ダメダョ」
と 声をひそませて ささやいた

「チョコレートとチュウインガムが
モラエルンだぞ」と言って 
得意満面の顔付きになった

「ソンデモッテさ それがサ
タダで 貰えるんダカンネ」
と 鼻をうごめかせた

(つづく)

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