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役者バカに捧ぐ ~ かやぶきライブ 山田真二 ~

親友 山田真二が逝った

Yamada







先日開催された宝塚映画祭で山田真二出演作品が3本上映された

華やぐパーテーの賑わいも好きだが
宴の前の 心なしか緊張ある
浮き立つ気分も 好ましい

13年前 茅葺き屋根の大崩落をきっかけに
私は信州白馬かやぶき茶屋の
再生新築に取り組み
落成記念のオープンパーテー開催に
こぎつけた 

ゲスト出演には 親友の歌手山田真二
日本舞踊五月千豊さんと
社中3人さんが駆けつけてくれた

信州白馬御宿かやぶき茶屋

玄関大戸を開け見上げると 4階吹き抜け
豪快な梁が交差する空間は
誰もが息をのみ感嘆した

その空間30畳に
昔古材を敷き寄せ[ 舞台 ]見立て
つづく60畳の大座敷を 客席にしつらえ
我ながら ほれぼれと見事な
[ ライブステージ ] が完成したのだった

打ち合せが一段落 掘りこたつで
お茶を飲んでいると 五月さんが来て
小声で言った
「平澤さん 真二さんのお姉さまも
今日出演なさるの?」
『いいえ どうして?』
「奈々子先生 先刻からステージで
大黒柱にポーズを構えたり
かるく踊ってらっしゃるゎ」......

「あの方パホーマンスの名手だから
急遽出演!ナァ-ンテ 楽しみかもね」
と茶目っぽく笑った

『お茶をどうぞ』と声をかけると
奈々子さんが こたつに入り
ふぅーっと息をついで話された
「平澤さん素晴しい空間を創造なさったわ
あなたの人生を賭けてかしら」
『いやーそれほどでも』
照れる私に モダンダンス山田奈々子さんが
静かに語りかけた

「ヒラサワクン かやぶき茶屋の
この素晴しい空間で 私に踊らせて
下さらないかしら?」『エッ』
「ノーギャラで結構 全部ヒラサワクン任せ
何としても この空間で踊りたい演目が
あるの」と......
高揚されたように胸のうちの想いを話された

 

― その数年前 近代詩の吉原幸子原作
「花魁」を芸術祭参加作品として上演
好評だったそうだ
詩人吉増剛造 琵琶半田淳子
ギター中村ヨシミツ
言うべくコラポレーションの嚆矢だ ―

― 東北の貧しい家に生まれ
身売りをされた娘が 花魁の位に登りつめ
栄華つかのま 子を孕み
結核に罹り 追われ 捨てられ
さまよい 狂った女の生きようが筋立て ―
展開という

批評家にも絶賛を浴びたそうだ 

さもありなん
「女」を演じて 当代屈指の舞踊家と
言われる山田奈々子が
詩壇最高峰の吉原幸子と組んだ
渾身の舞台 だったのだから 

さてそして その人 山田奈々子に
名指され懇請されたのが
[ かやぶき茶屋空間 ]とあっては
私に否やのある筈が無い
胸弾む思いで承諾をした

パーテーは盛大を極め
歌も踊りも喝采を浴びた
そして何より 山田真二の
友情溢れるトークが
絶妙に御来客の心を打った
ご来客との二次会も打ち上げ
当夜はペンションKENに引き上げた

宿泊室に 真二、奈々子さん 私
K君の4人が集まって
奈々子ライブ「花魁」を話し始めたが
案に相違して 真二が大反対だった

「ヒラサワクン お姉ちゃんの芸は
ここじゃ当たらないょ」

「ダメダメ ウケマセン お姉ちゃんに
恥かかせないでょ」

「冒険どころか危険です」 

「かやぶきのお客様に
山田奈々子の芸は異質です」と真二

『ウケ狙いだけが 芸じゃない』と私が反論

「青いンだょ ヒラサワもお姉ちゃんも!」
彼は強硬に自説を曲げなかった 

現代舞踊モダンダンス奈々子さんの
時に高踏な芸風が
かやぶき茶屋に集う観客には
理解されなかろうとの彼の懸念は
一面妥当とも言えたのだが

『アオイ方が 新鮮ダッ』
「リンゴは紅い方が美味しいョッ!」
アルコールの勢いもあって 
彼と私の議論は 脱線気味に
アア言えば コウ言う で果てしなく続いた

終止符を打ったのは 小気味良い
東京っ子らしい奈々子さんの
啖呵にも似た一言だった

「お客様どなたも観て下さらなかったら
ラストで かやぶき茶屋のガラス戸を
蹴破って 雪の庭へバッタリ倒れるゎ」
オホホ である 
観客総立ちマチガイナシ!と確信出来る?!

かくて翌年  山田奈々子パホーマンス
「 花魁 」が[ かやぶき茶屋ライブ ]
として上演され 山田奈々子畢生の
名舞台になった 

後日評判を聞きつけ 国立劇場参与の方が
かやぶき茶屋へ わざわざ東京から
来訪されたフランス大使館からの
問合わせがあった
当夜の観客には 詩人吉原幸子さんが
病身をおしてお出掛け下さっていた

終演鳴り止まぬ拍手の中
山田真二は立ち上がり
ボロボロと泣きながら声つまらせていた

お姉ちゃん凄い! お姉ちゃん凄い! を
連発していた山田奈々子の弟・山田真二君
目をうるませて 拍手していた山田奈々子の
盟友吉原幸子さん
お二人とも 遙かへ旅立ち 故人になられた

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